B&Wのスピーカーは、英国を代表する高級オーディオメーカー、Bowers&Wilkinsが製造しています。
創業以来、「ありのままの音」を追求する理念のもと、革新的な技術で業界をリードしてきました。
この記事では、B&Wというブランドの歴史から、各スピーカーシリーズの詳しい特徴、そして性能を最大限に引き出すための方法まで、網羅的に解説します。
これからB&Wのスピーカーの購入を検討している方にとって、有益な情報を提供します。
B&Wとは?世界中のオーディオファンを魅了する英国のスピーカーブランド
B&W(Bowers&Wilkins)は、1966年にイギリスで創業されたスピーカー専門ブランドです。
ブランド名の意味は、創業者であるジョン・バウアーズとロイ・ウィルキンスの名前に由来します。
原音に忠実なサウンドを追求する姿勢は世界中で高く評価されており、その評判はプロの録音スタジオから一般のオーディオ愛好家にまで及びます。
どの国でも最高峰のスピーカーブランドの一つとして認識され、その確かな品質で多くのファンを魅了し続けています。
B&Wの原点:創業者の純粋な音への探求心
B&Wの創業者であるジョン・バウアーズは、第二次世界大戦中に通信兵として無線技術に携わった経験から、音響への深い興味を抱きました。
戦後、友人のロイ・ウィルキンスと共にオーディオショップを開業し、顧客のために自らスピーカーを組み立てるようになります。
彼の「録音された音を、ありのままに再現したい」という純粋な探求心が、B&Wというブランドの原点です。
この情熱的な姿勢が、後の数々の革新的なスピーカー開発の礎となり、ブランドのフィロソフィーとして今日まで受け継がれています。
「ありのままの音」を届けるという設計思想
B&Wのスピーカーが持つ最大の特徴は、「Littleornosoundofitsown(スピーカー自身の音を極限までなくす)」という設計思想にあります。
これは、スピーカーユニットやキャビネットが余計な音を出さず、録音された音源を忠実に再現することを目的としています。
この思想を具現化するため、ケブラーコーンやマトリックス構造といった独自の技術を開発し、音の歪みや共振を徹底的に排除してきました。
結果として生み出される透明感の高い音質は、アーティストやエンジニアが意図したサウンドをリスナーにダイレクトに届けます。
世界トップクラスの録音スタジオが認める確かな品質
B&Wのスピーカーは、プロフェッショナルの現場でリファレンスモニターとして使用されるほど、その品質が高く評価されています。
特に有名なのが、英国のアビー・ロード・スタジオでの採用実績です。
ビートルズの録音で知られるこのスタジオでは、長年にわたりB&Wのスピーカーがモニタリングの基準として使われてきました。
フラッグシップモデルである800シリーズ、特に歴代の801モデルは、世界の多くのスタジオで導入されており、その正確無比なサウンドは数々の名盤誕生に貢献しています。
80年以上にわたるスタジオでの実績が、その信頼性を証明しています。
B&Wの歴史を紐解く:革新的な技術で業界をリード
B&Wは創業以来、常にオーディオ業界の技術革新をリードしてきました。
特に、エンクロージャー内部の共振を抑える「マトリックス構造」や、分割振動を抑制する「ケブラーコーン」の開発は、その後のスピーカー設計に大きな影響を与えました。
B&Wは現状に満足することなく、定期的なモデルチェンジを行い、ダイヤモンド・トゥイーターやコンティニュアム・コーンといった新素材・新技術を積極的に導入し続けています。
その歴史は、まさに原音再生への飽くなき挑戦の連続です。
ブランドの礎を築いた初期の名作スピーカー「P1」
1966年に発売された「P1」は、B&Wが初めて自社ブランドで製造・販売した記念すべきスピーカーです。
創業者ジョン・バウアーズが自宅の裏にあった工房で手作業で組み立てたこのモデルは、当時の常識を覆すほどの高い性能を誇り、オーディオ市場で大きな成功を収めました。
このP1の成功によって得た利益のすべてが、測定機器の購入や研究開発施設の設立に充てられました。
まさにP1は、B&Wが世界的なスピーカーブランドへと飛躍するための礎を築いた、ブランド史における重要な名機と言えます。
スタジオモニターの基準となった革命的モデル「801」
1979年に発表された「801」は、B&Wの名を世界に轟かせた革命的なスピーカーです。
このモデルは、トゥイーター、ミッドレンジ、ウーファーの各ユニットをそれぞれ独立したエンクロージャーに収めるという、当時としては非常に画期的な設計を採用しました。
これによりユニット間の干渉を最小限に抑え、極めて正確でクリアなサウンドを実現。
その卓越した性能が評価され、アビー・ロード・スタジオをはじめ世界中の録音スタジオでリファレンスモニターとして採用されました。
この成功は、現在のフラッグシップである800シリーズの原点となっています。
常識を覆すデザインと音響技術の結晶「Nautilus(ノーチラス)」
1993年に発表された「Nautilus」は、その常識外れのフォルムでオーディオ界に衝撃を与えました。
オウムガイ(Nautilus)を模した特徴的なデザインは、単なる奇抜さを狙ったものではなく、音響工学に基づいた究極の機能美の表れです。
ユニットの背面から発生する不要な音の反射を防ぐため、先細りになった長いチューブ(ノーチラス・チューブ)で音を吸収・減衰させるという画期的なアイデアが採用されています。
この革新的な技術は、後の700シリーズをはじめとするB&Wの多くのスピーカーに受け継がれ、ブランドの象徴的な技術の一つとなりました。
B&Wのスピーカーシリーズを徹底解説!各モデルの特徴とは
B&Wは、ユーザーの予算や目的に合わせて選べる複数のスピーカーシリーズを展開しています。
最高峰の技術を投入したフラッグシップの「800SeriesDiamond」から、スタジオ品質を家庭で楽しむための「700Series」、コストパフォーマンスに優れた入門モデルの「600Series」まで、それぞれに明確な特徴があります。
各シリーズのコンセプトや搭載技術を比較することで、自分のリスニング環境や求める音質に最も適したモデルを見つけることができるはずです。
最高峰の技術を結集したフラッグシップ「800 Series Diamond」
800SeriesDiamondは、B&Wが持つ最高の技術と素材を惜しみなく投入したフラッグシップシリーズです。
その名の通り、極めて硬質で軽量なダイヤモンドを振動板に採用したダイヤモンド・ドーム・トゥイーターが最大の特徴で、圧倒的な高域の解像度と伸びやかさを実現します。
また、長年使われてきたケブラーに代わる新素材コンティニュアム・コーンをミッドレンジに採用し、より自然で歪みの少ない中音域を再生します。
世界のトップスタジオが認めるリファレンスサウンドを家庭で体感したい、究極の音質を求めるユーザーに向けた最高峰の800シリーズです。
スタジオ品質を家庭で楽しむための「700 Series」
700Seriesは、フラッグシップである800シリーズで培われた先進技術を継承しつつ、より多くのオーディオファンが家庭環境で楽しめるように設計されたミドルクラスのシリーズです。
上位モデルの思想を受け継いだスリムなエンクロージャーデザインや、このシリーズのために専用開発された「カーボン・ドーム・トゥイーター」が特徴で、上位機種に迫るクリアで詳細なサウンドを実現します。
一部のモデルには、トゥイーターを独立したアルミ無垢材のハウジングに収める「ソリッドボディ・トゥイーター・オン・トップ」構造を採用。
性能と価格のバランスに優れた、B&Wの中核を担う70シリーズです。
コストパフォーマンスに優れた入門モデル「600 Series」
600Seriesは、B&Wのサウンドを最も手軽に体験できるエントリーシリーズです。
長年にわたり改良が重ねられ、最新のAnniversaryEditionでは上位モデルから受け継いだ技術がふんだんに投入されています。
例えば、ブックシェルフ型の606S2AnniversaryEditionは、コンティニュアム・コーンをミッドバスに採用し、このクラスを超える透明感とダイナミズムを獲得しています。
ピュアオーディオの入門機としてはもちろん、ホームシアターシステムの構築にも最適なラインナップが揃っており、60年以上の歴史を持つブランドの音響哲学を身近に感じられる、非常にコストパフォーマンスの高いシリーズです。
606sなど旧モデルも中古市場で人気があります。
B&Wスピーカーの性能を最大限に引き出すには?
B&Wのスピーカーは、それ単体でも高い性能を発揮しますが、そのポテンシャルを最大限に引き出すためには、周辺機器との組み合わせや設置環境が非常に重要になります。
特に、スピーカーを駆動するアンプの選定は、最終的な音質を大きく左右する要素です。
また、中古市場で過去の名機を探す際には、個体の状態を見極める知識も求められます。
ここでは、B&Wスピーカーをより良い音で楽しむための実践的なポイントについて解説します。
相性の良いアンプ選びでサウンドはさらに向上する
B&Wのスピーカーは色付けの少ないニュートラルな音質を持つため、組み合わせるアンプのキャラクターがサウンドに反映されやすい傾向があります。
スピーカーの持つ高い解像度や正確な音場表現を引き出すには、駆動力が高く、クリアでハイスピードなトランジスタアンプが一般的に推奨されます。
一方で、真空管アンプなどを組み合わせて、サウンドに厚みや艶といった音楽的な魅力を加える楽しみ方もあります。
さまざまなメーカーのアンプを比較試聴し、自分の好みや再生する音楽ジャンルに合わせた組み合わせを見つけることで、スピーカーの性能をさらに引き出すことが可能です。
中古でB&Wの名機を手に入れる際の選び方と注意点
B&Wは歴史が長いブランドのため、中古市場には生産が完了した過去の名機が数多く流通しています。
憧れのモデルを手頃な価格で入手できる可能性があるのは大きな魅力ですが、購入時にはいくつかの注意点があります。
まず、スピーカーユニットの状態、特にウーファーやミッドレンジの「エッジ」部分にひび割れや硬化がないかを確認する必要があります。
また、トゥイーターのドームにへこみがあると音質に影響するため、入念なチェックが欠かせません。
信頼できるオーディオ専門店で購入するか、可能であれば実際に音を出して動作確認を行うことが、中古の名機を長く楽しむための重要なポイントです。
まとめ
B&Wは、創業以来「ありのままの音」という哲学を貫き、革新的な技術でスピーカーの歴史を築いてきた英国のブランドです。
その品質はプロの録音スタジオにも認められており、フラッグシップの800シリーズからエントリーの600シリーズまで、各モデルが明確なコンセプトに基づいて設計されています。
B&Wのスピーカーは、原音に忠実でありながら音楽の楽しさを伝える絶妙なバランスを持っており、世界中のオーディオファンに最高のリスニング体験を提供し続けています。
アンプとの組み合わせやセッティングを工夫することで、その潜在能力をさらに引き出すことも可能です。










