
KRELL(クレル)は、アメリカを代表する高級オーディオメーカーです。
1980年の設立以来、パワフルな駆動力とクリアな音質を両立したアンプを中心に、世界中のオーディオ愛好家から高い評価を得ています。
その卓越した技術は、ホンダのフラッグシップセダン「レジェンド」の純正カーオーディオシステムに採用されたことからも証明されています。
本記事では、KRELLというブランドの魅力と特徴、歴史を詳しく解説します。
KRELL(クレル)とはアメリカを代表する高級オーディオメーカー
KRELL(クレル)は、1980年にダニエル・ダゴスティーノによって設立された、アメリカのコネチカット州に本拠を置くハイエンドオーディオメーカーです。
設立当初から「TheLeaderinAudioEngineering」を掲げ、特にパワーアンプの分野で革新的な製品を次々と発表し、オーディオ業界にその名を轟かせました。
KRELLの製品は、どんなスピーカーでも易々と駆動する圧倒的なパワーと、純A級動作による歪みのない精緻なサウンドを特徴としており、その妥協のない設計思想は多くのオーディオファイルの心を掴んでいます。
KRELL製オーディオが持つ3つの特徴
KRELL(クレル)のオーディオ製品は、他の追随を許さない独自のフィロソフィーに基づいて設計されており、そのサウンドには明確な特徴があります。
圧倒的な駆動力、純A級動作がもたらすクリアな音質、そしてそれを支える巨大な電源部という3つの要素が、KRELLサウンドの根幹を成しています。
これらの特徴は互いに密接に関連し合い、パワフルでありながらも繊細な音楽表現を可能にしています。
以下では、それぞれの特徴について詳しく見ていきます。
特徴①:スピーカーをパワフルに駆動する圧倒的な駆動力
KRELLのアンプが持つ最大の特徴は、スピーカーを力強く駆動する圧倒的な駆動力にあります。
これは、インピーダンスが低いスピーカーや、能率の悪いスピーカーであっても、その性能を最大限に引き出す能力を意味します。
この強力な駆動力の源泉となっているのが、巨大な電源トランスと大容量コンデンサーで構成される強力な電源部です。
これにより、音楽信号のダイナミックな変動にも余裕をもって追従し、低音域の制動力やスケール感の大きなサウンドを実現します。
いかなるスピーカーと組み合わせても、その潜在能力を余すところなく引き出すパワーがKRELLの真骨頂です。
特徴②:純A級動作による歪みのないクリアな音質
KRELLは創業当初から、歪みの発生が原理的に最も少ない「純A級動作」のアンプにこだわり続けてきました。
A級動作は、常に最大出力を出せる状態で待機しているため、信号のプラス側とマイナス側の切り替え時に発生するスイッチング歪みがなく、非常に滑らかで透明感の高い音質を得意とします。
一方で、消費電力が大きく発熱量も多いという課題がありましたが、KRELLは独自の回路技術と堅牢なヒートシンク(放熱板)によってこの問題を克服しました。
この純A級動作へのこだわりが、微細な音のニュアンスまで忠実に再現する、クリアで音楽的なサウンドを生み出しています。
特徴③:巨大な電源部が支える安定したパワー供給
KRELLのアンプを語る上で欠かせないのが、その心臓部である巨大な電源部です。
筐体の大部分を占めるほどの大型電源トランスと、ずらりと並んだ大容量のコンデンサーは、KRELLの製品を象徴する光景ともいえます。
この強力な電源部は、音楽のクライマックスで大電流が必要になった際にも、電圧を安定させたまま潤沢なパワーを供給し続けるためのものです。
電源の安定性はアンプの性能に直結し、音の立ち上がりの速さや、静寂の中から音が浮かび上がるような表現力を支えます。
この揺るぎない電源供給能力こそが、圧倒的な駆動力とクリアな音質の両立を可能にしているのです。
ブランド名の由来はSF映画『禁断の惑星』に登場する異星人
KRELL(クレル)という独特なブランド名の意味は、1956年に公開されたSF映画の金字塔『禁断の惑星(ForbiddenPlanet)』に由来します。
この映画には、惑星アルテア4にかつて存在した、超高度な科学技術を持ちながらも自らの精神エネルギーを制御できずに滅亡した謎の異星人「クレル(Krell)」が登場します。
創業者ダニエル・ダゴスティーノは、このクレル人が遺した「無限のパワーを供給する」という巨大な地下動力炉のコンセプトに感銘を受けました。
自らが作るアンプもまた、スピーカーに対して無限とも思えるパワーを供給する存在でありたいという願いを込めて、ブランド名をKRELLと名付けたのです。
ホンダの最高級セダン「レジェンド」にも純正採用された実績
KRELLの卓越したオーディオ技術は、ホームオーディオの分野にとどまらず、自動車業界にも進出しています。
その代表的な実績が、ホンダのフラッグシップセダン「レジェンド」の5代目モデル(2015年〜2021年)に純正カーオーディオシステムとして採用されたことです。
このシステムは、レジェンドの車内音響特性に合わせて専用に設計されたもので、合計14個のスピーカーと高性能なDSPアンプで構成されています。
KRELLが持つパワーとクリアな音質を車内で実現するために、スピーカーの素材や配置、アンプのチューニングに至るまで徹底的にこだわり抜かれ、移動空間とは思えないほどの臨場感あふれるサウンドステージを創出しました。
KRELLの歴史を彩る歴代の名機を紹介
1980年の創業以来、KRELL(クレル)は数多くの革新的な製品を世に送り出し、ハイエンドオーディオの歴史にその名を刻んできました。
その製品群は、単なる工業製品にとどまらず、音楽を愛する人々から「名機」として語り継がれています。
ここでは、ブランドの礎を築いた初期のパワーアンプから、現代の技術が結集された最新のプリメインアンプ、そしてシステムの核となる高性能プリアンプまで、KRELLの歴史を語る上で欠かせない代表的なモデルをいくつか紹介します。
パワーアンプの傑作「KSAシリーズ」
KRELLの名を世界に知らしめたのが、創業初期に発表されたパワーアンプ「KSAシリーズ」です。
特に「KSA-50」や「KSA-100」は、純A級動作による50W/100Wという当時としては画期的な大出力を実現し、それまで鳴らしきることが難しいとされていた低能率なスピーカーを軽々と駆動させてオーディオ業界に衝撃を与えました。
巨大なヒートシンクを備えた武骨なデザインと、そこから生み出されるパワフルかつ繊細なサウンドは、まさにKRELLの原点と言えます。
発売から数十年が経過した現在でも中古市場で高い人気を誇り、多くのオーディオファンにとって憧れの存在であり続けています。
現代の主力プリメインアンプ「K-300i」
「K-300i」は現代のKRELLを代表する最新世代のプリメインアンプです。
このアンプには、KRELLが長年培ってきた純A級動作のノウハウをさらに進化させた「iBias™クラスA回路」が搭載されています。
この技術は、入力信号を監視して常に最適なバイアス電流を供給することで、純A級の音質を保ちながら消費電力と発熱を大幅に抑制することを可能にしました。
また、最新のD/Aコンバーターを内蔵したデジタル入力も充実しており、ストリーミング再生などの現代的なリスニングスタイルにも対応します。
伝統のパワーと最新の機能を両立させた、まさに現代のk-300iは、新時代のKRELLを象徴するアンプです。
高性能プリアンプ「Illusion II」
KRELLのシステムにおいて、パワーアンプの性能を最大限に引き出すために不可欠な存在がプリアンプです。
「IllusionII」は、同社のプリアンプの中核をなすモデルであり、徹底した高音質設計が施されています。
左右のチャンネルを完全に独立させたデュアルモノラル構成や、純A級・無帰還回路の採用により、チャンネル間の干渉を排除し、信号の純度を極限まで高めています。
音量調整には低歪みなバランスモード抵抗ラダー方式を採用するなど、細部に至るまで一切の妥協がありません。
パワーアンプへクリーンで力強い信号を送り込むことで、音楽の持つ繊細なニュアンスや広大な空間表現を余すことなく再現する高性能なアンプです。
KRELLに関するよくある質問
ここでは、KRELL(クレル)というブランドについて、オーディオ愛好家やこれから購入を検討している方々から寄せられることの多い質問にお答えします。
中古市場での価値、カーオーディオの後付けの可否、そしてブランドの創業者であるダニエル・ダゴスティーノの現在の活動など、krellをより深く知るための情報をまとめました。また、一部で噂される中国での製造に関する情報についても触れていきます。
KRELLのアンプは中古市場でも価値がありますか?
はい、価値があります。
KRELLのアンプは、堅牢な作りと時代を超越した優れた音質により、中古市場でも非常に高い人気を誇ります。
特に、ブランドの評価を確立したKSAシリーズなどの初期の名機は、現在でも高値で取引されており、専門の買取業者も存在します。
長年愛用できる耐久性と資産価値を兼ね備えている点も、krell製品の大きな魅力です。
KRELLのカーオーディオは後付けできますか?
後付けは困難です。
KRELLのカーオーディオは、ホンダのレジェンドのように特定の車種のために専用設計された純正採用システムが基本です。
車両の音響特性に合わせてスピーカーの配置やアンプのチューニングが最適化されているため、汎用品として市販されておらず、他の車種に後付けすることは基本的にできません。
創業者ダニエル・ダゴスティーノは現在どうしていますか?
自身の名を冠した新ブランドを設立し、活動しています。
創業者のダニエル・ダゴスティーノは2009年にKRELLを離れ、その後「DanD'AgostinoMasterAudioSystems」を立ち上げました。
この新ブランドでも、彼の設計思想を色濃く反映した、独創的でパワフルなハイエンドオーディオ製品を精力的に開発・発表し続けています。
まとめ
KRELLは、1980年にアメリカで設立されて以来、ハイエンドオーディオ業界を牽引してきたメーカーです。
その製品は、どんなスピーカーも駆動する圧倒的な駆動力、純A級動作による歪みのないクリアな音質、そしてそれを支える巨大で安定した電源部という3つの大きな特徴を持っています。
ブランド名はSF映画『禁断の惑星』に登場する超文明異星人に由来し、その無限のパワーのイメージを製品哲学に反映させています。
ホンダの最高級セダン「レジェンド」に純正採用された実績は、その技術力の高さを証明しています。
中古市場でも価値が落ちにくい名機を数多く生み出してきたKRELLは、これからもオーディオ愛好家にとって特別な存在であり続けるでしょう。











