光カートリッジとはDS AUDIOが開発・販売されているMMやMCとは全く異なる方式で音楽再生を可能とするカートリッジです。
簡単に原理を説明しますと、まずMMやMCは電磁誘導式という方式を採用しているカートリッジになり、磁界の中でマグネットやコイルが振動することで音楽信号を検出することができています。
誘導されるものがコイルなのかマグネットなのか、またそのマグネットの配置によってもいろいろ種類が分かれてきますがおおまかに説明するとこのようになります。
それに対し、光カートリッジは光電式という方式でLEDと太陽電池を用いて振動による明るさの変化をとらえて音楽信号に変換します。
光カートリッジのメリットとしては振動系が動く際に磁気抵抗が一切発生しないこと、もう一つはカートリッジの重さを軽く設計できるという点が挙げられます。
磁気抵抗が原因のノイズはもちろん心配いりませんし、重さが軽くなることで、針先への負担が減り、今まで以上に繊細に溝をとらえることができ、細かな音の表現が可能となりました。
光カートリッジの特性上、専用のフォノイコライザーを必要とします。
DS AUDIOではカートリッジ、フォノイコライザーとセットでの販売もしています。
カートリッジは少し上位機種に変えるということも可能ですので、システム構築の際はまず初めにどの価格帯のものを購入するか吟味する必要がありますね。
ハイエンドオーディオ&アクセサリーショウ2024のDS AUDIOのブースにて光カートリッジと来月発売になる真空管フォノイコライザーの試聴体験ができるコーナーがありました。
システムは下記の通りでした。
カートリッジ DS-W3、DS Master3(DS AUDIO)
フォノイコライザー DS-W3、TB-100(DS AUDIO)
ターンテーブル Air Force V(TechDAS)
プリメインアンプ 330(Soulution)
スピーカー Olympica Nova V(Sonus faber)
どの機材もハイエンドのものばかりで素人配線でもいい音がなることは目に見えていました。
まずは新たなリファレンスモデルとして発売されたDS-W3のセットから試聴しました。
まず初めて聞いて一番に関心したところはなんといっても音の透明感です。
それに加え低音域まで力強く表現できているところは、フォノイコライザーの性能の良さが伺えます。
力強さと細かい表現、クリアな音はやはり針先への負担が少なく自由度の高さゆえと思います。
続いてカートリッジはそのままに、フォノイコライザーを真空管式の物に変えての試聴です。
音の傾向としては少し明るくなったと感じました。
力強さは先ほどのW3と変わらず、むしろ中域にかけての張り出す感じは強くなりました。
また全帯域にかけて真空管らしい音の温かみも加わり、聞いていて心地の良いサウンドが奏でられました。
200~220万円前後の発売ということで価格差はかなりありますが、システム全体の音質向上を図るならすぐに結果が得られるので検討してもいいのかもしれません。
最後にカートリッジを上位モデルのDS Master3に変えての試聴です。
この上にもまだ上位モデルはありますが、DS Master3からダイヤモンドをカンチレバーに採用していて、非常に密度の濃い音と滑らかさが感じられました。
表現力が段違いで、例えるなら高解像度の絵を眺めているのではなく、自分もその絵画の中に一緒になって描かれているような感覚でした。
それだけ音が自然に身近にあるような感覚に陥りました。
正直価格だけ見ると手が出しづらいという印象ではありましたが、今回のように試聴し比較するとそれだけかける価値が理解できました。
まだまだハイエンドの音質を求める楽しみはこれからもどんどん出てきそうですね。
さて自宅のターンテーブルの音を聞くのが怖くなったところで今回はこの辺にしたいと思います。