ELAC(エラック)は、1926年にドイツで創業された歴史あるオーディオブランドです。
革新的な技術と洗練されたデザインを融合させ、世界中のオーディオファンから高い評価を得ています。
特に、独自のドライバーユニットがもたらすクリアで緻密なサウンドは、ELACの大きな魅力です。
この記事では、ELACの歴史から技術的な特徴、主要な製品ラインナップ、そして自分に合ったスピーカーの選び方までを詳しく解説します。
ELAC(エラック)はドイツ発祥の歴史あるスピーカーブランド
ELACは、1926年にドイツ北部の港町キールで設立されました。当初は水中音響技術、特にソナーの研究開発を主力事業としていましたが、その精密な技術力を活かして戦後から民生用オーディオ製品の製造を開始します。
特に1950年代に発表したレコードプレーヤー「Miracord」シリーズは世界的な成功を収め、オーディオブランドとしての地位を確立しました。1980年代以降はスピーカー開発に本格的に注力し、今日に至るまで数々の革新的な技術を生み出し続けています。
ELACのスピーカーが持つ技術的な特徴と魅力
ELACのスピーカーが世界中のオーディオファンを魅了する理由は、その卓越した技術力にあります。
ブランドの代名詞ともいえる「JETツイーター」や、アルミとペーパーを組み合わせた独自のウーファーは、他の追随を許さないクリアでパワフルなサウンドを実現します。
これらの革新的な技術と、ドイツブランドらしい洗練されたデザインが融合することで、ELACならではの高い音質と所有する喜びを生み出しています。
音楽の細部まで表現する緻密さと、空間を満たすダイナミックなサウンドがELACの真骨頂です。
代名詞ともいえる「JETツイーター」が実現するクリアな高音
ELACのサウンドを象徴するのが、独自開発の「JETツイーター」です。
これはハイルドライバーを原型としたユニットで、アコーディオンのように折り畳まれた極薄の振動板が、空気を高速で押し出すことで音を発生させます。
この構造により、一般的なドーム型ツイーターに比べて遥かに高速なレスポンスと、低い歪み率を実現しました。
結果として、非常にクリアで見通しが良く、超高域まで伸びやかなサウンドを再生できます。
また、空間表現を豊かにする無指向性のスーパーツイーター「4Piツイーター」も開発するなど、高音域再生に対する探求心はELACの大きな特徴です。
アルミとペーパーを組み合わせた独自のウーファーユニット
ELACは低音域を再生するウーファーユニットにも独自の技術を投入しています。
「AS-XR CONE」と呼ばれるウーファーは、アルミニウムとペーパーパルプという異なる素材を特殊な接着剤で結合させたサンドイッチ構造が特徴です。
これにより、軽量でありながら高い剛性を両立させ、低音再生時に発生しやすい分割振動を効果的に抑制します。
表面に施されたクリスタルラインと呼ばれる幾何学的な模様は、この剛性をさらに高めるための工夫です。
この技術により、正確で歪みがなく、パワフルな低音再生を可能にしており、同社の高性能なSUB(サブウーファー)製品にも活かされています。
インテリアに調和する洗練されたデザイン性
ELACのスピーカーは、その優れた音質だけでなく、ドイツブランドならではの洗練されたデザイン性も高く評価されています。
機能美を追求したミニマルなフォルムと、ピアノラッカー仕上げに代表される高品質なフィニッシュは、あらゆるインテリア空間に自然に溶け込みます。
例えば、VELAシリーズの緩やかにラウンドしたキャビネットや、CONCENTROシリーズの彫刻のような佇まいは、オーディオ機器であると同時に美しいオブジェのようです。
創業90周年を記念したDiscovery Z3や、30年以上の歴史を持つコンパクトスピーカーBS 312など、時代を超えて愛されるデザインも生み出しています。
ELACの主要なスピーカーシリーズを一挙紹介
ELACは、本格的なオーディオの世界に足を踏み入れるエントリーユーザーから、究極のサウンドを求めるハイエンドユーザーまで、幅広い層のニーズに応える多彩なスピーカーラインナップを展開しています。
コストパフォーマンスに優れた「Debutシリーズ」から、ブランドの技術の粋を集めたフラッグシップ「CONCENTROシリーズ」まで、それぞれのシリーズが明確なコンセプトを持って設計されています。
ここでは、ELACを代表する主要なスピーカーシリーズの特徴を紹介します。
フラッグシップモデル「CONCENTROシリーズ」
CONCENTROシリーズはELACが持つ技術と哲学のすべてを注ぎ込んだフラッグシップモデルです。
見る者を圧倒する独創的で有機的なフォルムは音響的な理想を追求した結果生まれました。
シリーズ最大の特徴はJETツイーターとミッドレンジドライバーを同軸上に配置した「StepX-JET同軸ドライバー」です。
これによりまるで一つの点から音が出ているかのような非常に自然で定位感に優れたサウンドステージを実現します。
強力なウーファーユニットと組み合わせることで壮大なスケールと繊細な表現力を両立させており、究極のリスニング体験を提供します。
高いコストパフォーマンスで人気の「Debutシリーズ」
Debutシリーズは、世界的に著名なスピーカーデザイナーであるアンドリュー・ジョーンズ氏が設計を手掛けたことで知られる、コストパフォーマンスに優れたラインナップです。
ELACのサウンドを手頃な価格で体験できるエントリーシリーズでありながら、その音質は価格を遥かに超えるレベルにあります。
振動板に採用されたアラミドファイバー製ウーファーは、優れた強度と内部損失を両立し、クリアでレスポンスの良い中低音を実現します。
現行の「Debut2.0」シリーズでは、新開発のウェーブガイド付きツイーターを搭載し、指向性を改善することで、より広いリスニングエリアで安定したサウンドを楽しめるように進化しています。
スタイリッシュなデザインが魅力の「VELAシリーズ」
VELAシリーズは、音質とデザイン性の高次元での融合を目指したラインナップです。
緩やかな弧を描くバッフル面と、わずかに後方へ傾斜したキャビネットが特徴的で、この流麗なフォルムは見た目の美しさだけでなく、音響的にも大きなメリットをもたらします。
キャビネット内部の定在波を低減し、音の回折を抑えることで、よりクリアで濁りのないサウンドを実現しました。
もちろん、ELACの代名詞であるJETツイーターやAS-XRCONEウーファーを搭載しており、そのサウンドは緻密でダイナミックです。
旧200LINEの後継として、デザインと音響性能をさらに洗練させたVELAシリーズは、現代のリビング空間に最適な選択肢の一つです。
多機能で使いやすいアクティブスピーカー「DCB41」
DCB41は、ELACの本格的なサウンドをより手軽に楽しめるように設計された、アンプ内蔵のアクティブスピーカーです。
コンパクトなブックシェルフ型スピーカーでありながら、テレビと簡単に接続できるHDMIARC端子をはじめ、USB、Bluetooth、光デジタル、アナログ入力といった多彩な接続方法に対応しています。
これにより、PCオーディオからスマートフォンのワイヤレス再生、テレビのサウンド強化まで、一台で幅広い用途をカバーできます。
ELACが培ってきた技術を投入したこのスピーカーは、サイズからは想像できないほどのクリアでパワフルなサウンドを再生し、デスク周りやリビングでのリスニング体験を格段に向上させます。
【目的別】あなたにぴったりのELACスピーカーの選び方
1926年の創業以来、多彩なスピーカーを生み出してきたELAC。
その豊富なラインナップの中から自分に最適なモデルを見つけるために、ここでは目的別の選び方を提案します。
「初めて本格的なオーディオシステムを組みたい」「じっくりと音楽鑑賞に浸りたい」「テレビの音を手軽に良くしたい」といった、それぞれのニーズに合わせたおすすめのシリーズやモデルを紹介することで、後悔のないスピーカー選びをサポートします。
初めての本格オーディオにおすすめのエントリーモデル
これから本格的なオーディオを始めたいと考えている方には、まず「Debut2.0」シリーズをおすすめします。
このシリーズは、アンドリュー・ジョーンズ氏による優れた設計思想に基づき、手頃な価格帯ながら上位モデルに迫る高音質を実現しているのが最大の魅力です。
特にブックシェルフ型の「DebutB5.2」や「DebutB6.2」は、比較的小さなスペースにも設置しやすく、ELACサウンドの真髄を手軽に味わうことができます。
また、アンプ選びなどに悩まず、よりシンプルに高音質を楽しみたい場合は、多機能なアクティブスピーカー「DCB41」も非常に良い選択肢となります。
音楽を深く楽しむためのハイグレードモデル
エントリーモデルからステップアップし、より深く音楽の世界に没入したい中級者以上の方には、「VELAシリーズ」や「SOLANOシリーズ」が適しています。
VELAシリーズは、JETツイーターとAS-XRCONEウーファーによる極めて高い解像度と、洗練された美しいデザインが特徴で、音楽の細やかなニュアンスや空気感までリアルに描き出します。
一方、SOLANOシリーズは、VELAシリーズの優れた技術を継承しながら、よりオーソドックスで飽きのこないキャビネットデザインを採用しており、純粋に音質を追求したいユーザーから高い支持を得ています。
どちらのシリーズも、音楽鑑賞をより豊かな体験へと昇華させる力を持っています。
テレビの音をグレードアップさせたい方向けのモデル
テレビの内蔵スピーカーでは物足りず、映画やライブ映像のサウンドを迫力あるものにしたい場合、ELACのスピーカーは優れた解決策となります。
最も手軽で効果的なのは、アクティブスピーカー「DCB41」の導入です。
HDMIARC端子を備えているため、テレビとケーブル一本で接続でき、電源や音量もテレビのリモコンで操作可能です。
より本格的なサラウンドシステムを目指すなら、Debut2.0シリーズのセンタースピーカーやサブウーファーを組み合わせることで、臨場感あふれるホームシアター環境を構築できます。
アナログ入力を使えば、レコードプレーヤーを接続して音楽を楽しむことも可能です。
まとめ
ELACは、ドイツのキールで創業して以来、約1世紀にわたりオーディオ技術の革新をリードしてきたブランドです。
その歴史はレコードプレーヤー用のターンテーブルから始まり、現在では「JETツイーター」や「AS-XRCONE」といった独自のドライバー技術を核とした高性能スピーカーで世界的に知られています。
コストパフォーマンスに優れたエントリーモデルから、技術の粋を集めたハイエンドモデルまで、幅広いラインナップを揃えているため、初心者からベテランのオーディオファンまで、あらゆるユーザーの要求に応えることができます。
卓越した音響性能と、インテリアに調和する洗練されたデザインを両立したELACのスピーカーは、音楽や映画をより深く楽しむための優れた選択肢です。











